ヴロツワフ(ポーランド)2012/03/01 23:59


9年ぶり、2度目のポーランドです。以前ハンガリーに赴任して一番最初の出張がここ、ヴロツワフでした。それ以降、ポーランドには機会があればまた行きたいと思いつつなかなか縁がなく、当時とは居住地も業務も全く変わってしまって、ついに巡ってきた2度目のポーランドが再びヴロツワフというのは、因縁めいたものを感じます。

ヴロツワフは現地語で「Wrocław」と書きます。これが最初読めなくて、当時ハンガリー人同僚に「ロックローに出張に行く」と言ったら一瞬怪訝な顔をされ、スペルを教えると「あー、ブレスラウのことだね、それはヴロツワフと読むんだ」と言うので今度はこちらがちんぷんかんぷん。ヴロツワフは千年の歴史がある古都ですが、ドイツ、チェコとの国境に近く、14世紀以降第二次大戦終わりまでの長い間、ブレスラウ(Breslau)という名でドイツ人の支配下にありました。今でもドイツ語ではそう呼ぶのですが、以前ブダペストから行くのにミュンヘンで飛行機を乗り継ぐ際、タイムテーブルの「W」の欄を探してもフライトが全然見つからないので焦りました。そう言えば、と思い出して「B」の欄を見るとちゃんとあったのでほっとしましたが。

さて、今回は多少フリータイムがありましたので、あいにくの曇天でしたが町を散策に出ました。9年前に来たときはまだデジカメを買う前だったので写真が残っておらず、リベンジです。


町の中心、旧市庁舎はヴロツワフのシンボル。いろんな様式をミックスしたようなユニークな建築物です。



このあたりの建物はパステル調の色に塗り分けられ、メルヘンチックな雰囲気です。ここもポーランドの他の都市同様、第二次大戦では壊滅的な被害を受け、戦後、オリジナルの図面を元に、ポーランド人の執念によって町が再建されたそうです。


中に入ったことはありませんがオペラ座。以前来たときは、こんなちっぽけな町でさえ立派なオペラ座を持っているとは、やっぱりヨーロッパは凄い、と感心したのですが、実はヴロツワフはポーランド第4の都市にして、国で一番所得の高い都市だそうで、全然「ちっぽけな町」ではありませんでした。

9年前も感じたのですが、歩いていてアジア人に出くわすことが全くと言っていいほどありません。ここは近くに某日系最大手自動車メーカの工場があるので日本人居住者や出張者はそれなりにいてもおかしくないですが、夕食のレストランで一組だけ日本人らしき人を含むグループを見かけた以外は、白人ばっかりの町です。



メルヘンな町並みを象徴するかのように、こびとさんの像が町中至る所に置かれ、時間があれば探して歩くのもまた一興かと。他にもちょっとヘンなオブジェがいろいろありまして、


舌を出した熊さんの水飲み場。


美術館前にあった蛇男のモニュメント。


足下では人魚が悶えております。


大聖堂に向かって歩いていると駅舎のような特徴的な建物を発見。あれは市場に違いない。旅先で市場を見るのが趣味の私は、当然突入。


中に入ると、やっぱり市場でした。中くらいの規模です。いろんな種類のトマトがあり、美味しそう。ハンガリーでよく売っていた黒大根も久々に見ました。


旧市庁舎前広場の近辺も十分にヨーロッパの旧市街の雰囲気を持っていますが、ヴロツワフの本当の旧市街は大聖堂のあるOstrów Tumski(カテドラル・アイランド)で、その歴史は10世紀まで遡れます。かつてはオドラ川の支流に挟まれた中島だったそうですが、一方の支流が埋まってしまったので現在は島ではありません。


川を渡る橋にはびっしりと錠前が。永遠の愛を誓ってカップルが錠前をかける流行は、パリやローマにもありましたね。場所は忘れましたが、もちろん日本でも。


聖ヤン(ヨハネ)大聖堂はゴシック調の厳かな建物。極彩色のステンドグラスは精巧で見応えがありました。すっかり忘れていましたが、ここは9年前にもガイドツアーで確か見たはず。


同じく千年の古都であるブダペストのブダ側旧市街と裏通りなどはたいへんよく似ていますが、こちらのほうはずっと静かです。


ラツワヴィツェ・パノラマ美術館に閉館間際に飛び込みました。19世紀からある古いパノラマだそうで、ロシアの圧政に対して農民が蜂起し、ロシア軍に大勝した「ラツワヴィツェの戦い」を記念して設立されました。




360度のパノラマを真ん中の展望台から眺めるわけですが、台と絵の間には本物の土が盛られ、草木が植えてあり、木製の台車が置いてあって、どこまでが現実でどこからが絵画か、よくわからなくなるよう上手く作られています。一番下の写真も、右から2本目の細い木は本物です。オーディオガイドは日本語なんかないだろうと思って英語でお願いしたのですが、いろいろいじっていると結局日本語もありました。オススメです。


夕食は以前も行った旧市庁舎下のレストランを目指したのですが、回線の故障でクレジットカードが使えないとのことで、近くのPod Fredraというお店に急きょ変更。外からは見えなかったのですが、なかなか雰囲気の良い内装です。


前菜のヘリング(鰊)盛り合わせ。ポーランドは酢漬けのヘリングをよく食べるそうです。デンマークやスウェーデンのヘリングはどれもこれも味付けが甘いのであまり好きではないんですが、こちらのヘリングはしめ鯖に近く、気に入りました。


メインはダックのロースト。これはまあ、あっと驚く仕掛けもなく、普通でした。


ポーランドのプラムブランデーSliwowice、70度です。強いお酒が好きな私も、これには喉が焼けました。チェコにもハンガリーにも同様の蒸留酒はありますが、市販されてるのはせいぜい50度止まりです。さすが、95%のウォッカ(ほとんど純メタノール)があるポーランド。


これはポーランドの白ビール。チェコビールほどのコクはありませんが、ポーリッシュビールもなかなか美味しいものがあります。

9年ぶりのヴロツワフはあまり変わっておらず、短い時間でしたが懐かしく満喫できました。これで天気が良ければ、なおよかったんですがねえ。