初めての中国2011/11/18 23:59

出張で初めて中国の土を踏みました。瀋陽、北京、唐山、蘇州、上海を回る結構な強行スケジュール。


瀋陽(Shenyang)は晴天に恵まれましたが、空気が乾燥していて、非常にホコリっぽい。11月にしてすでに夜には氷点下になるくらい寒かったです。市街地こそ上の写真のように高層ビルや公共施設の建設ラッシュでしたが、中心を少し離れるとビルや店舗がとたんにボロボロでみすぼらしくなり、郊外にちょっと出たら、そこはもう映画でしか見たことがなかった中国のド田舎風景。今にもくずれそうな平屋の建物、道路を堂々と走るリヤカー、車道を堂々と悠然と歩く人々、車線にまたがるように走り、クラクションで道を開けさせようとする車…。空気の悪さと相まって、ちょっとしたカルチャーショックでした。


唐山(Tangshan)では寒さは和らいでいましたが、ずっと天気が悪く、空気は瀋陽よりもさらに悪かったです。地元の人は「霧」と言ってましたがどう見てもスモッグのため視界が悪くなり、高速道路が閉鎖されていました。交通マナーの無秩序ぶりも輪をかけてひどかったです。日本料理屋は市内に1件くらいしかなく、食材等日本のものの入手も困難な様子で、日本人が住むにはタフな環境だと思います。


上海(Shanghai)まで行くと気候はがらっと変わって蒸し暑く、町並みの雰囲気も一変します。上海の「大都会度」は全く東京のよう、というか、高層ビルはむしろ東京よりも多いかもしれません。和食、居酒屋、本・CD屋、コンビニ、日本人が生活で必要とするものはほとんど何でもありそうで、日本も近いし、ここなら駐在員もずいぶんと過ごしやすいでしょうね。

今回町を散策するような自由時間はほとんどなかったのですが、上の写真は虹橋珍珠城(Hong Giao Int'l Pearl City)というショッピングモール。地元の人は「ニセモノデパート」と呼んでいました。中には小さい店舗がひしめき合っており、庶民的な店もあれば、どう見ても正規代理店には見えないのに「ブランド品」を揃えたショップもあり、怪しさ満載。Cath Kidstonのバッグも置いてあり、タグにはORIGINAL LONDONの文字も見え、値札にはそれなりの値段が張ってありますが、この10分の1くらいまで値切るのが相場らしいので、何のことはない、やっぱりコピー商品なわけです。私も含め、素人はころりとだまされてしまうできのよさです。

上海は交通マナーも道路インフラも北のほうと比べたら至ってマトモ、ちゃんと秩序があります。ただ恐かったのは、大きい交差点で歩行者横断歩道の信号が青なのに、それと直交する方向の車の右折信号(中国は右側通行です、念のため)も堂々と青になっていること。歩行者優先という概念が全くないと見えて、横断歩道を人が渡っていても車が躊躇なく突っ込んで来るので、危ないったらありゃしない。あれでは事故が絶えないでしょう。両方青というのはさすがにマズくないか?と思ってしまうのは、交通サバイバルという意味ではぬるま湯の日本やイギリスに慣れ切っているからでしょうか。

今回中国で一番印象的だったのは、料理。昔から中華料理は好きでしたが、あれは美味いだの不味いだのいろいろ言ってきても、結局本場の中国で食べたというリファレンスがないことがコンプレックスになっていました。一方、海外でいかにも中国人がやっている中華料理屋でとんでもないものが多々あることもわかってきて、これなら自分には横浜中華街の料理が一番美味しく思える、本国の中華料理など一生知らないほうが、がっかりしないでよいのかもしれない、などとも考えていました。今回は重役と一緒に各所を回る出張だったので、行く先々で最高レベルの歓待を受け、ご馳走になった料理のいちいち美味しかったことと言ったら!本場のハイレベルの中華料理はたいへん鮮烈なものでした。日本だと味覚に合わせて抑え気味に使う茴香や香菜もふんだんに使用し、山羊汁のように日本やイギリスではほとんどお目にかかれないローカル料理もあり、半ば仕事を忘れて食いモードになってしまいました。

こういった酒宴の席で決まって行われるのが、白酒(バイジュウ)という50度くらいのスピリットをストレートで小さいグラスに入れ、干杯(カンペイ)と唱和して一気に飲み干すという、いわゆる「白酒乾杯攻撃」。中国人にこれの好きな人が必ずいて、中国に出張する人は最初にその洗礼を受け、つぶれるまで帰してもらえない、という話を聞いていたのですが、ハンガリーでパーリンカ乾杯攻撃を生き延びてきたおかげか、意外と平気で飲めました。むしろ、多分非常に良い白酒を出してくれたんでしょう、とても美味しいと思いました。ある日のランチで、中国に慣れている重役が「白酒は無しだからな」と事前に中国側に言っておいたところ、それならワインにしましょうということで赤白ワインがしこたま用意され、ワイングラスで、やっぱりカンペー、カンペーでした。いくらワインでも、白酒の4倍の容積を飲めばアルコール摂取量は同じなわけで、蒸留酒じゃない分むしろたちが悪い。つぶれはしなかったですが、そのランチの飲みが一番堪えました。