京都その1:建仁寺2011/09/03 23:47

話は前後してしまいましたが、8月は長めの休暇をもらって日本に帰っておりました。京都の実家には今回1週間以上滞在し、こんなに長く実家に泊まったのは、大学で東京に出て以降初めてかも。しかし、長くいたからといって特に何をしたわけでもなく、とにかく暑いので外に出る気も起きず、うだうだとしていた時間が多かったのですが、家族サービスで多少オノボリサンもやりました。

娘が夏休みの絵画コンクールで、今年は龍の絵を描きたいと言うので、それなら龍の天井画でも見せてあげようかと、最初は家からも近い天龍寺に行こうと思ったら拝観日ではなかったので、それならばと建仁寺にしました。


京都生まれでありながら、ここに来るのは初めてです(多分)。そもそも京都人は皆が皆、寺社仏閣に詳しいわけではありません。行こうと思えばいつでも行けると思って結局行かない人も多いはず。私なんかより、寺社仏閣マニアで京都の大学に通っていた妻のほうがよっぽどエキスパートなので、私はただの運転手でした。


目指すは法堂。ここの「双龍図」は小泉淳作の手による新作で、平成14年に奉納された、龍の天井画としては極めて新しいものです。


建仁寺はどこでも写真撮影OKという非常に太っ腹なお寺さんです。本尊がかすむほどの迫力ある双龍図は、やっぱり一見の価値がありました。娘も大喜びです。


絵が新しいので、天龍寺や妙心寺の天井画と比べると、ずいぶんとギラギラして、躍動感が凄いです。禅寺には浮いていると言えばそうですが、なに、異なった時代の様式が同居するのは洋の東西問わずよくあることですし、あと100年もすればしっくりと溶け込んでいることでしょう。


ここには他に、海北友松によるふすま絵の「雲龍図」もあり、こちらは禅寺らしいわびさびの世界です。


建仁寺といえばさらに有名なのが国宝の俵屋宗達作「風神雷神図屏風」。オリジナルの本物は京都国立博物館所蔵になっているのでここにはありませんが、方丈(本坊)の玄関を入るさっそく陶板のレプリカが飾ってありました。


方丈の中庭に面した部屋には、屏風絵のレプリカもありました。複製なのにガラスケースで厳重にブロックされています。


その横には「風神」「雷神」と同じレイアウトで書かれた書道が。これなどはまさに「記号化」で、ポストモダンの香りがしますね。作者は金澤翔子さんという弱冠26歳の書家だそうです。


方丈の中庭(海潮庭)。他の庭はほとんどが工事中で見れなかったのは残念でした。


建仁寺はいわゆる祇園のお茶屋通りである花見小路沿いにあり、夕方になると芸妓さん、舞妓さんがしゃなりしゃなりと歩いているそうですが、昼間は見かけず。恥ずかしながら、この通りを歩いたのも初めてのような気がします。いやー、全くのオノボリサンですなー。


ランチにと入ったのは元祖ぶぶ漬けの人気店「十二段家」。定番の名物定食(1580円)は、薄味で出汁がきいていて、どの皿も本当に上品。良い味でしたが、私の感覚では、これは全く京都の家庭の味。きばって外で食べるようなものではないと思うし、十二段家のブランド名がなければ1580円の値段設定はとてもできないでしょうね。でも、こういう「普通の味」が今では稀少になって来ているのかもしれません、残念なことに。

次回に続く。