フィルハーモニア管/ヴァスケス/デミジェンコ(p):美人過ぎるホルン奏者2011/06/30 23:59


2011.06.30 Royal Festival Hall (London)
Christian Vásquez / The Philharmonia Orchestra
Nikolai Demidenko (P-2)
1. Berlioz: Overture, Le carnaval romain
2. Rachmaninov: Piano Concerto No. 3
3. Tchaikovsky: Symphony No. 6 (Pathétique)

今シーズン最後のオーケストラ演奏会です。先日のアルゲリッチキャンセルでリターンしたロイヤルフィルのチケットと交換しました。元々行く予定ではなかったのでノーチェックだったのですが、この演奏会、元々はプレトニョフが指揮する予定が、タイで少年への性的暴行容疑で逮捕されるという事件があり(その後告訴取り下げ)、その影響でか、昨年末の段階で指揮者がベネズエラの新星、クリスチャン・ヴァスケスに変更となっていたようです。さらに、ピアノ独奏はデニス・マツーエフだったのですが、当日行ってみるとニコライ・デミジェンコに変更になっていました。何か変更はないかと当日までWebでチェックしていたので、これは本当にドタキャンだったのでしょう。結局、なんだか最初からわやくちゃな状況になってしまいました。

シーズン最後ですが、残念ながら今日もフィオナちゃんは降り番。しかし、ふとホルンの女性が目に入り、釘付けに!



透き通るような素肌がめちゃめちゃ奇麗、これは掛け値なしに美人だ。かんとくさんがブログでおっしゃってたのは、この人ですね。メンバー表を見るとKaty Wooleyという人で、何とプリンシパルじゃないですか。後で調べてみたら、今年からフィルハーモニア管に加入したニューカマーの第3ホルンとのこと。凄く若そうに見えますが、たいしたものですね。バルトークには出ていませんでしたが、マーラーシリーズには全部出ていました。普段前のほうで聴いていると管楽器奏者の顔は全部見えないので、私としたことが、今まで気付かなんだー。

まず最初に、本日は環境的にちょっと問題が。断続的にキーキーと不快な高周波が響いてきて、何じゃいなと思ったら、どうも近席に座った老人の補聴器がハウリングを起こしているようでした。ハウリング音は音量的にはたいして大きくないのですが、演奏中の静寂を破るようにキィィィィンと甲高い音が聴こえてくるとどうしても気が散って仕方がありません。しかし、本人も隣席の奥さんも全く気付いてない様子。ハウリングを起こすまで感度を上げなければならないほどの難聴なのにわざわざ音楽会に出かけ、楽しそうに音楽に没頭しているその老人の顔を見ると、注意するのも野暮だと思い黙っていましたが、そういうわけで自分自身の集中力はイマイチと言わざるを得ない状況での鑑賞となりました。

ヴァスケスはドゥダメルと同じくベネズエラのエル・システマ出身の新星で、本当なら5月にプラハ放送響を率いて来日しているはずが、震災影響でキャンセルになってしまったようです。まずは「ローマの謝肉祭」で小手調べ。小気味の良い音楽を作る人ですが、何だか普通という印象。ラフマニノフの第3コンチェルトはさらに輪をかけて守りに入った感じで、ひたすら四角四面に棒を振り、急きょ招集されて固さが抜けないデミジェンコと相まって、窮屈で膨らみのない滑り出しにすっかり退屈してしまいました。元々この曲、冗長で苦手なんですわ。前回実演を聴きに行ったのは遥か昔、及川浩治のほとんどプロデビューのころの演奏会だったかと記憶していますが、何を隠そうデートでした。ええ、うまく行きませんでしたとも。という定番のコピペに加え、デート欠乏症のくせにときめく心を全く失っていた当時の心境をまざまざと思い出します。とまあそんな話は今日の演奏会には全く関係なく、デミジェンコもヴァスケスも固さは徐々に取れてきて、終楽章では壮大にロマンティックな音楽を引き出していました。デミジェンコさん、ロンドンでは人者らしく、急な代役を無事こなしたのもあって、会場は温かいスタンディングオベーションに包まれました。この人はロシア人にありがちなガシガシと叩き付けるピアノではなく、どちらかというとちょっと控えめで繊細な味付けに妙がある人なんでしょうね。アンコールピース(聴いたことあるんですが曲名出てきません)を聴いていても、そう思いました。

メインの「悲愴」はかつて部活のオケで演奏したこともありますが、これまた実演を聴くのは久しぶり。偶然、前回もフィルハーモニア管で、ブダペスト駐在時代、日本に本帰国する前夜に聴いた最後の演奏会でした。帰国前夜まで演奏会通いとは、と呆れられたものですが(それどころか前前夜もブダペスト祝祭管の演奏会に行ってますし)、指揮者がムーティのプラチナチケットだったので、ここまでは何とか聴きたいと、無理を押しての日程となってしまいました。ムーティらしく全体的にも抑制の利いた演奏で、その中でも自分は別と、一人で気を吐いていたティンパニ(笑)が印象的でした。もちろん、アンディさんだったんでしょう。一方、今日のアンディさんは、さらに磨きがかかり、まさに「ブレーキの壊れたダンプカー」。席が近かったこともあって、第1楽章のクライマックスなどはバリバリバリと、もうティンパニしか聴こえませんでした。他の箇所でもチューニングを変えたり、音を追加したり、やりたい放題やってくれました。これを聴くために来たようなもんなので、個人的には満足です。この曲は他の打楽器(シンバル、大太鼓、ドラ)も出番は少ないながら実に効果的な使い方がされていて、さんざ聴き込んだ曲ですが、あらためてその成熟度にシビレました。そうそう、全体的には、ヴァスケスはゆったりめのテンポ設定で、オケから自然に出てくる流れにまかせるかのような演奏でした。細かいところをいじくるよりは、おおらかでロマンチックな表現に終始していました。何にせよ、もっとアクとか個性があれば、なおよいかなと。期待の新星であることは認めますが、ドゥダメルに続けとばかりの、プロモーターの拙速なブッキングに乗っかるよりも、どこかの歌劇場か地方のオケでじっくり叩き上げたほうが、先のためには良いのではないでしょうか。

前後しますが、今日は早めに会場に着いたので、フィルハーモニア管が主催するMartin Musical Scholarship Fundの入賞者による無料コンサートを初めて聴いてみました。Sophie Rosaという23歳のヴァイオリニストによるシューマンとラヴェルのソナタでした。こちらもなかなかの美人!ラヴェルの途中で顎当てが外れたか何かで一度引っ込み、だいぶ待たせた後に再開というアクシデントがありましたが、演奏はそれをものともせず情熱的なもので、好感が持てました。

コメント

_ つるびねった ― 2011/07/04 07:17

ああもうまたぁ〜。フィルハーモニアのホルンって若い女の人結構乗ってますよね。
それにしてもこの日のスミスさん、まさにブレーキの壊れたダンプカーでしたね。言い得て妙。指揮者がおとなしい鬱憤を晴らすかのように叩きまくってました。ほんと面白いです。わたしも、フィルハーモニアは完全にティンパニ聴くために通ってます。

_ Miklos ― 2011/07/05 07:16

「ああもうまたぁ〜。」と言われましても、やっぱり奇麗なおねえちゃんには目がないもので、仕方がありません。女性の金管奏者って、無骨に思いがちですけど、意外と華奢な美人が多いですよね。
それにしてもスミスさんの暴れっぷりは、もちろん指揮者の若造など丸無視でやってるんでしょうから、ヴァスケス君ちょっとかわいそうかも、と思ってしまいました。

_ かんとく ― 2011/07/11 06:56

Miklosさん、こんばんは。この前、コメントしたつもりだったんですが、うまくアップされなかったようなので、今一度。わざわざ、ご紹介ありがとうございました。相当いい線行ってますでしょ。かなり、若いと思いますね。今後のリサーチをお願いいたします。
来シーズンのプログラムを見ても、フィルハーモニアはこれは何が何でも行きたいというのがないので、まだ何も予定がありません。次はいつ、行けるのだろうか?

_ Miklos ― 2011/07/12 07:13

かんとくさん、ケイティちゃんはマジでポイント高いですね。フィオナちゃんともども、今後もウォッチします。

フィルハーモニアの来シーズンは、私もマゼールのマーラーとサロネンのバルトーク以外はまだ手をつけてません。マーラーの8番以外はまだチケットありそうですので、オススメですよ。

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_ miu'z journal *2 -ロンドン音楽会日記- - 2011/07/10 08:52

30.06.2011 @royal festival hall

berlioz: overture, le carnaval romain
rachmaninov: piano concerto no. 3
tchaikovsky: symphony no. 6

nikolai demidenko (pf)
christian vásquez / po

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