ロイヤルバレエ:白鳥の湖(ヤノウスキー、キシュ)2011/01/22 23:59

2011.01.22 Royal Opera House (London)
The Royal Ballet
Valeriy Ovsyanikov / Orchestra of the Royal Opera House
Marius Petipa / Lev Ivanov (Choreography), Anthony Dowell (Production)
Zenaida Yanowsky (Odette/Odile), Nehemiah Kish (Prince Siegfried)
Elizabeth McGorian (The Princess), WIlliam Tuckett (Evil Spirit)
Alastair Marriott (Tutor), Valeri Hristov (Benno)
Laura Morera, Yuhui Choe, Sergei Polunin (Pas De Trois)
1. Tchaikovsky: Swan Lake

ロイヤルバレエの「白鳥の湖」は初めて見ます。基本的にはプティパ=イワノフ版でモダンな演出は一切ありませんが、舞台装置が豪華絢爛なのがロイヤルらしいです。

今日の主役は初めて見る2人です。というか、妻の趣味によりマクレー様の日を見ることが多かったので、あまりいろんなダンサーを実は見ていません。本日のオデットのヤノウスキーはフランス出身のベテランプリンシパル、王子様のキシュはアメリカ人で、昨年デンマークロイヤルバレエからプリンシパルとして移籍してきたそうです。キシュは写真で見たイメージとは異なり、意外と小柄で朴訥な印象です。年齢はよくわかりませんが、元気ハツラツオロナミンCというよりも無駄なく老練な踊りで、けっこう年季が入っている気がします。

それよりもヤノウスキーの白鳥が登場したときのインパクトがいろんな意味で凄かったです。キシュと並ぶとかなりの長身で、ポワントなしでも余裕で頭一つ出ています。贅肉の一切ない細い身体に筋肉だけが付いており、腕はさすがに細いものの、キシュとタメを張る足の筋肉には野性味すら感じました。正直なところとても女性には思えず、ニューハーフのダンサーだったのか!と勝手に意表を突かれておりました。しかし妻も全く同じように思ったそうで、私の目だけがおかしいわけでもないのです。踊り自体は素人目には完璧で、回転はしっかりした下半身に裏打ちされて全くブレないし、よく見ると手の動きもたいへん細やかで優雅です。しかし、出張の疲労が溜まっていて頭に柔軟性が消えていたせいか、最初の印象があまりに強過ぎて、最後まで「異形の白鳥」としか見ることができませんでした。従ってオディールを踊っている場面のほうがよくハマっていました。また、あの体格と筋肉質であれば相当重いと思われますが、キシュのリフトは一切グラつかず、こちらも立派でした。はじけるような踊りの2人ではありませんでしたが、質実な大人のパフォーマンスを堪能させていただきました。

帰宅後に調べると、ヤノウスキーはROHの人気バリトン歌手サイモン・キーンリーサイドの奥さんで、子供が2人もいるんですね。勝手にオカマさんと思い込んでしまって、ごめんなさい。

話は前後しますが、第1幕のパ・ド・トロワに福岡出身韓国人のチェさんが出ていました。この人は一昨年の「くるみ割り人形」で見て以来ですが、本当に舞台映えする美人ですね。プロポーションもいいですし、全身がお人形さんのようにかわいらしい。ここの踊りは短いながらも重要な役どころで、他の2人はすでにプリンシパルなので、チェさんも昇格近し、なのでしょうか。