バーミンガムロイヤルバレエ:ロメオとジュリエット2010/10/14 23:59

2010.10.14 Sadler's Wells Theatre (London)
Birmingham Royal Ballet
Paul Murphy / Royal Ballet Sinfonia
Kenneth MacMillan (Choreography)
Nao Sakuma (Juliet), Chi Cao (Romeo)
Alexander Cambell (Mercutio), Robert Gravenor (Tybalt)
Joseph Caley (Benvolio), Tyrone Singleton (Paris)
Andrea Tredinnick (Lady Caplet), Michael O'Hare (Lord Caplet)
Viktoria Walton (Lady Montague), Marion Tait (Nurse)
1. Prokofiev: Romeo and Juliet

久々の演奏会の予定だった12日のLSO+ムターが仕事の都合で行けなくなって悔しがってるときに、Metroで半額プロモーションの広告がふと目に入り、思わず買ってしまいました。

バーミンガム・ロイヤルバレエは初めて見ましたが、やはりロイヤルバレエと比べると端役の人々、特に娼婦の人なんか踊りがけっこう雑だなと、素人の目には映りました。主役の佐久間奈緒、チー・ツァオはどちらもベテランのプリンシパルで、プログラムにもことさら頻繁に組むパートナーであることが強調されていましたので、もしかしたら私生活でもパートナーなんでしょうか。ただし正直な感想としては、そのわりには息が合っていないように見えました。各々ソロではしっかりしているのに、からむと流れがブツ切れになり、いちいち「よっこらしょ」と声が聞こえてきそうな感じでタイミングを合わせています。それであっても大きくよろめく箇所がいくつかありました。けんかでもしてたんでしょうかね。ロメオは男3人の踊りのほうがよっぽど柔軟でリラックスしていて良い感じでした。しかし、床のせいか靴のせいか、回転の度にキュキュと寒気を催す音が鳴って(発泡スチロールをこすると出るような音です)、それに弱い私はぞぞ気がしてちょっと落ち着きを欠きました。

佐久間さんは美人ですね。今日は日中モンゴロイド系のロメオとジュリエットだったので、日本のバレエ団を見ているような感覚に陥りましたが、白人に交じっても違和感はないお顔立ちですね。技巧も優れて安定している印象ですが、身体がちょっと固い感じはしました。ただ、うちがリファレンスとしてしまうのは1984年のアレッサンドラ・フェリ主演のロイヤルバレエDVDですので、あの奇跡のようなジュリエットと比べられたら、誰でもたまったもんじゃないでしょうけど。

振り付けは3月に見たロイヤルバレエと同じマクミラン版で、舞台装置はそれなりにしっかりしたものを使っていましたが、ステージが小さいので多少窮屈な感じがしたのと、群衆の数も減っていました。ただ同じ演出とは言え、細かい部分はいろいろ違いがあります。衣装はむしろロイヤルよりも凝っている印象で、袈裟のようなマントを着た中国人のロメオは、さながらお坊さんのような風貌でした。マンドリンの踊りの毛むくじゃらの着ぐるみは、いったい何だったのか…。

あとは、ロイヤルとの比較で言うと、何よりオケが貧弱なのが難点です。コーン・ケッセルズが音楽監督とのことで期待したのですが、弦はまだマシでしたが管はごまかしが多く、全体的に躍動感も情緒感も乏しく、これではダンサーがいかに健闘しても、ロイヤルに並ぶことはできないでしょう(並ぼうと思ってないかもしれませんが)。

サドラーズ・ウェルズは初めてでしたが、Angel駅という夜はあまり治安がよろしくないと言われる場所にあり、劇場周辺は繁華街から離れて食事できる場所もあまりないので、冬の時期はちょっと避けたいかな。