バーンスタイン・プロジェクト:ミサ2010/07/10 23:59

2010.07.10 Royal Festival Hall (London)
The Baernstein Project
Marin Alsop / The Mass Orchestra
Jesse Blumberg (Celebrant)
South Bank Centre Voicelab
1. Bernstein: Mass - A theatre piece for singers, players and dancers

没後20年を記念してSouth Bank Centreが今シーズンを通してやっていた「バーンスタイン・プロジェクト」のクライマックスとして、若いアマチュアアーティストによる「ミサ」の演奏がありました。この曲はワシントン・ケネディセンターのこけら落としとしてJFKことケネディ大統領未亡人のジャクリーンから委嘱されたものだそうで、基本はラテン語のテキストによる伝統的な「ミサ」をベースにしながらも、ミュージカル歌手陣とエレキギター、ドラム、シンセ等も加わり、聖俗入り乱れた摩訶不思議な内容になってます。

オケは英国ナショナルユース管のメンバーを軸に、ブラジル、米国、イラクからも奏者を招待した特別編成、他の出演者も俳優やダンスのスクールで学ぶ若者達で、はっきり言うとプロのレベルには届いていない人も多かったのですが、全体として手作り感あふれる、ほのぼのとしたものでした。舞台の中央部にステージを設け、演奏者はそれを取り囲むように配置されています。ステージ背後の4枚のスクリーンではJFK、MLK(キング牧師)、ベトナム戦争、アメリカ国旗などのイメージスライドショーが演出に応じて上映されていました。歌手陣はバリトンの司祭役を筆頭に、皆さん基本的にミュージカル畑です。ダンサー(といっても踊りらしいものはなくパントマイム風)、マーチングバンド、客を装ったサクラのコーラス(年配のおじちゃんおばちゃん達なので)も登場し、人海戦術でステージ上のみならず客席までも巻き込んだ、最後のスタッフの退場まで計算された、壮大な演出でした。

指揮はこのバーンスタインプロジェクトの芸術監督でもあるマリン・オールソップです。彼女のCDは持っていますが、指揮を生で見るのは初めて。しかし、この曲は指揮者としての傾向とか力量を推し量るにはあまりに変化球過ぎますので、評価は次回に取っておきます。

この曲、クラシック側からミサ曲として見ると破天荒ですが、シアターピースとして見れば音楽的に斬新なところはあまりなく、あえて言うと冗長で退屈な部分も多い問題作です。それを差し引いても、滅多に見れる演目ではないですし、半分アマチュアのような人々による熱意あふれるステージは一見の価値ある迫力でした。