LSO/エトヴェシュ/ポリーニ2010/06/20 23:59

2010.06.20 Barbican Hall (London)
Peter Eotvos / London Symphony Orchestra
Maurizio Pollini (P-3)
1. Bach (arr Webern): Fugue in Six Voices
2. Helmut Lachenmann: Double (Grido II)
3. Brahms: Piano Concerto No. 1

エトヴェシュ指揮の現代音楽中心という渋いプログラムながらほぼ満員の入りだったのは、ひとえにポリーニ効果でしょう。6/6と比較して、コチシュと言えどもポリーニと比べたら集客力には雲泥の開きがあったようです。エトヴェシュの指揮を聴くのは3回目ですが、自分の曲と20世紀以降の音楽しかやらない人だと思っていたので、ブラームスは初の19世紀もので意外な選曲でした。

ラッヘンマンはヴァイオリンが3群に分かれた弦楽合奏による25分くらいの曲で、私が思う典型的な「現代音楽」のイメージです。各弦楽器はこれでもかというくらい特殊奏法を駆使し、キーキーした落ち着かない音がが全編に渡って鳴り響きます。LSOはもちろん、イギリスのオケがラッヘンマンを取り上げることは今までなかったそうですが(BBC響は除く)、それだけにオケメンバーの真剣さはよく伝わってきて、聴衆は息を飲んで見守るしかありませんでした。

メインのブラームス、ポリーニを生で見るのは初めてでしたが、猫背でいかにも老いた感じは否めませんでした。ピアノはもちろんくずれることなくたいへん上手なのですが、アタックが弱くて覇気に欠け、終始淡々としていていました。これはこれで円熟の渋みなのかもしれませんが、思っていたポリーニのイメージとはずいぶん違いました。オケもいたってクールで、ノンビブラートに近い奏法で旋律に「歌」がなく、心を熱くさせる演奏ではありませんでした。エトヴェシュだったら、それこそバルトークでもやってくれたらお互いの「クールさ」が生きたかもしれないのになあ、と思ってしまいました。

コメント

_ つるびねった ― 2010/06/24 07:49

その集客力要因のひとりでした。コチシュさんの方は聴けなかったので。
わたしはポリーニさん思ってたより良かったです。結構悪評を目にしていたので、ものすごくへろへろになってるのかと思っていたから。でもやっぱりポリーニさんはポリーニさんでした。良いおじいちゃんですよね。

_ Miklos ― 2010/06/25 07:36

つるびねったさんこんにちは。調べてみると、ポリーニさんは1942年生まれでバレンボイムと同い年、アシュケナージ、エッシェンバッハ、コヴァセヴィッチ、アルゲリッチからはむしろ年下、全然老け込む年ではないですね。アシュケナージ、エッシェンバッハといった指揮者転向組を私はあまり支持していなかったのですが、彼らの「まだまだ現役」感と比較すると、転向は延命の道だったのだなあと今更ながら気付きました。

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_ miu'z journal *2 -ロンドン音楽会日記- - 2010/06/24 07:41

webern/bach: fugue in sex voices
lachenmann: double (grido II)
brahms: piano concerto no. 1
maurizio pollini (pf), peter eötvös / lso @barbican hall

最近、ポリーニさんは歳をとって指が回らなくなったとか、昔の輝きはもはやないなんて悪評ばかり聞くので、じゃなかった、聞くけど、信じられないので聴きに行ってきました。わたしが聴いたポリーニさんで印象に残っているのは10年くらい前、カーネギー・ホールで聴いたシュトゥックハウゼンのピアノ曲X...